韓国ドラマでは小さな紙コップを持って飲みながら話しているシーンをよく見かけますね。何をそんなに毎回飲んでいるか…皆さんはご存知ですか。
今回の「韓国ドラマの食」は、その紙コップの中身!インスタントのスティックコーヒーです。
では、韓国ではなぜ頻繁にインスタントのスティックコーヒーを飲むようになったのか探っていきたいと思います。韓国人気ドラマ「刑務所のルールブック」や「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」のコーヒーシーンも一緒にご紹介します。
韓ドラの気になる!あの紙コップって何?
韓国ドラマあるあるの紙コップでコーヒーを飲むシーンを見たことがありますか?
こちらのドラマは、2017年11月放送の「刑務所のルールブック」です。小さな紙コップを握り、会話をするシーンが本当によく登場します。
そしてこちらは2018年放送の「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」です。毎日働き詰めのアイユは、会社から持って帰ってきたスティックコーヒーを2本飲み、飢えや疲れを忘れさせていました。
ドラマをまだ見てない方は、あらすじの予告動画をどうぞ!
「刑務所のルールブック」のインスタントスティックコーヒー名シーン
スティックコーヒーがたくさん登場する「刑務所のルールブック」をご紹介します。個性大爆発。刑務所なのに仲良すぎてたくさん笑わせてもらいました。
部屋ではよく皆でコーヒーを飲みます。
中でも人気俳優チョン・へイン(ユ大尉)が入所してきたシーンでは…
ペン部長が用意してくれたコーヒーにこの言葉。入所したばかりなのによく言えた!
見た目も怖いし口も悪い。でも素敵なペン部長がイラっとしますが…
スティックコーヒーの中身を出し、コーヒーの顆粒だけをピンセットで分けてあげます。やぱり優しい…!
すると甘いミルクコーヒーがブラック(韓国ではアメリカーノ)になりました。
ペン部長は余ったミルクと砂糖を自分のコーヒーに入れます。甘すぎるから体が心配!
韓国スティックコーヒーの種類はとても豊富!
スティックコーヒーが韓国でどれだけ愛され必要とされているかスーパーの陳列をみればすぐにわかります。
最近流行りの香りや人気カフェのスティックコーヒーなどたくさんあるので選ぶのも楽しいですね。
韓国でインスタントコーヒーはいつ誕生したか
韓国にコーヒーが初めて伝えられたのは朝鮮末期、およそ100年以上前で朝鮮の最後の王様「高宗」も好んで飲んだそうです。日帝時代に近代式の喫茶店(다방|茶房)も出来ました。さらに朝鮮戦争後、アメリカ軍がインスタントコーヒーを持ち込んだことから広まりました。
コーヒー文化が拡散し、外貨流出防止の策として韓国政府は1968年にコーヒー会社「東西食品」の設立を認可しました。
アメリカのジェネラルフードと提携を結んだ「東西食品」は、1976年、韓国初のインスタントコーヒーを発売しました。当時はまだスティックコーヒーではありませんでしたが、1987年に現在のスティックコーヒーの形が誕生し、大ヒット商品となりました。
マキシムコーヒーを筆頭に「東西食品」のコーヒーは、現在もたくさんの人気商品を生み続けています。
スティックコーヒーのNo.1シェアのマキシム
韓国スティックコーヒーの不動の1位は、「東西食品」のマキシムです。
韓国では、圧倒的なシェアを取る商品があります。例えば、samsungのGalaxyスマートフォン、農心の辛ラーメンが代表的です。インスタントコーヒー業界では東西食品のマキシムがそれにあたります。
マキシムコーヒーのCMモデルは売れっ子スター
マキシムコーヒのCMモデルは、その時のトップスターがよく起用されます。マキシムのCMはとても雰囲気がよくてコーヒーが飲みたくなりますよ。
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甘すぎる?韓国インスタントスティックコーヒーの秘密
それでは、現在でもよく飲まれている一般的な韓国のスティックコーヒーがどのようなものなのかご紹介します。
スティックコーヒーは日本のインスタントコーヒーよりも少ない量のお湯を入れます。100mlがちょうどよい量で、甘くて濃厚な味です。
これぞ豆知識!ですが、実はスティックの裏側に魔法の「砂糖調節部分」が付いており、指でつまんで調節できるようになっています。
その中身は…
左からコーヒー・粉ミルク・砂糖が入っているので右側を指でつまむと砂糖の量を調節できます。大体混ざっているため調節不可が多いですが笑
韓国でインスタントコーヒーが人々に密着している理由
さて、では一体なぜドラマにも頻繁に登場し、いつも飲んでいるイメージがあるのでしょうか。
それは、韓国の日常生活とも深い関わりがあります。
①オフィスには必ずスティックコーヒー
ドラマ「マイ・ディア・ミスター」では主演のアイユが会社の給湯室のインスタントコーヒーこっそりもって帰るシーンが登場します。このように韓国の会社の給湯室には必ずスティックコーヒーが置いてあって誰もが気軽に飲めるようになっています。
②インスタントコーヒー自動販売機
駅や学校、病院など公共施設によく自動販売機が置いてあります。味はそこまで保証できませんが価格は200~500ウォン(約20-50円)でちょっと甘いのが欲しい時にいいですね。ドラマのロッカールームにも設置してありました。
③食堂で食後にインスタントコーヒー
韓国式の料理店ではインスタントコーヒーの機械をよく見かけます。食後にみんなで長居しながらホッと一息落ち着くサービスです。もちろん無料ですよ。
④公共施設や銀行の待合場所に
こちらは銀行です。心優しいサービスで待ち時間にコーヒーや緑茶を飲むことができて嬉しいですね。こういう場所もほとんどがサービスの一環で無料提供です。
もう一つの呼び名「다방커피 タバンコピ」
今も少し残っていますが、昔の韓国には、出会いの場や音楽、芸術を発信する場所として「다방|茶房」という喫茶店がありました。甘いコーヒーに人々は酔いしれ、語り合い、ロマン溢れる場所でした。
しかし、1980年頃のタバンコーヒーは少しずつ違う意味を持っていくようにもなります。「タバンアガッシ|茶房お嬢さん」という言葉も生まれ、女性の接待を行う店や、電話が鳴ると風呂敷にインスタントコーヒーのセットを包んで配達を行い、甘いコーヒーと共に注文先で淫乱なサービスまで行う店も出てきました。
そんな不思議なストーリーを持つインスタントコーヒーは今でもその名が消えることなく、スティックコーヒーを「タバンコピ」と呼ぶ人もいます。
韓国のインスタントスティックコーヒー文化はいかがでしたか?体に良くなさそう、甘すぎるなどいろんな方の意見もありますが、昔から親しまれ、この味を好きな人が多いからこそ今に至ります。
進化しつつも昔から変わらないものを好きでいられる文化って素敵ですね。